Fig 5.14 補足

  • ②の絵で、天井(円柱の上の面)は要らんかった。


  1. 二角形の天井面に沿って、手前の半円矢印を奥側に移動する。
  2. 奥側の緑の側面(四角形、円柱の側面の奥の半分)に沿って、天井半円+縦線・矢印を南西対角方向に移動して、縦線+床半円・矢印にする。
  3. 二角形の床面に沿って、奥の半円矢印を手前側に移動する。

これにより、手前にあいてた穴(円柱の側面の半分)が埋まって膜が張る。可換な多角形には膜を張るルール。

参考までに他の図

3-圏と、3-圏からモノイド圏への関手 -- toward 量子と古典の物理と幾何@名古屋」より:

随伴系の二重圏」より:

まだ記事になってない(絵だけ):


例題:

要約 2020-05-06 への追記

要約 2020-05-06 - (2nd) 檜山正幸のキマイラ飼育記

x.f = f(x) と x;f = f\circx の使い分けが難しくなるが、そもそもが使い分ける必要がないものなので、どっちを使ってもかまわない。気にすることはない。

集合論では、所属関係(記号'∈')と要素概念が基本。だが、圏論では要素概念は使いたくない。代わりに、ポインティング射〈ポインター射 | ポインター〉を使いたい。ポインティング射は、特定された対象を域とする射で、特定された対象は通常1と書かれる(人により書き方は違う)。

ポインティング射の域1は、集合圏なら(特定された)単元集合、圏の圏なら(特定された)自明圏とする。集合圏のポインティング射はポインティング写像であり、圏の圏のポインティング射はポインティング関手となる。

要素や対象(対象は、対象達の集合の要素)という概念を排除した場合は、適用 f(a), F(A) も意味を失う。これらは、(a:1→X) と (f:X→Y) の結合, (A:☆→C) と (F:CD) の結合、の略記法となり:

  • f(a) := a;f (縦結合の略記) in Set
  • F(A) := A*F (横結合の略記) in CAT

この略記の約束のもとでは:

x.f = f(x) と x;f = f\circx の使い分けが難しくなるが、そもそもが使い分ける必要がないものなので、どっちを使ってもかまわない。気にすることはない。

要約 2020-05-06

  1. “圏の圏”は2-圏の事例と考えよう。
  2. 対象=ポインティング関手、射=ポインティング関手のあいだの自然変換、と考えよう。
  3. 各種の適用〈application | evaluation〉、射の結合、関手の結合、関手・自然変換のヒゲ結合、自然変換・自然変換の縦結合、自然変換・自然変換の横結合は、最終的には縦結合と横結合の二種に統合できる。
  4. だが、適用だけは別扱いのほうが混乱が少ない。結果的に演算子記号は下の表。
  5. 対象、射、2-射などを幾何学的図形と考えるのは、単なる“例え”ではない。実際に幾何学的対象物である。例えば、2-射の形状は、向き付き〈oriented | directed〉の(曲がった辺を持つ)二角形である。
  6. ストリング図(図形の次元は逆転)とペースティング図と、両方とも描けるようになろう。
  7. 記法・図法・用語法はバラバラであり、不都合だと分かっても変えない(辻褄が合わないままに使い続ける)傾向がある。記法・図法・用語法に拘らないで、概念そのものを理解しよう。

演算子記号の表(◇は横結合として、\circは縦結合とする):

関手 自然変換
適用 . or -(-) . or -(-) . or (-)(-)
縦結合 ; or \circ なし ; or \circ
横結合 なし * or ・ or ◇ * or ・ or ◇

x.f = f(x) と x;f = f\circx の使い分けが難しくなるが、そもそもが使い分ける必要がないものなので、どっちを使ってもかまわない。気にすることはない。

5.3.2.12 Natural isomorphism

ステートメント

  • α::F⇒G:CD is-natural-iso ⇔ ∀(A in C).( αA is-iso in D )

主要な概念・命題

  1. α::F⇒G:CD is-iso within Cat(C, D) in Cat
  2. ∃(β::G⇒F:CD within Cat(C, D)).
    α;β = IDF ∧ β;α = IDG within Cat(C, D) in Cat
  3. α;β = IDF in Cat(C, D) ⇔ ∀(A in C).( A.(α;β) = A.IDF in D)
  4. A.(α;β) = A.IDF in D
    A.α ; A.β = A.F in D
    βA\circαA = F(A) in D
  5. β;α = IDG in Cat(C, D) ⇔ ∀(A in C).( A.(β;α) = A.IDG in D)
  6. A.(β;α) = A.IDG in D
    A.β ; A.α = A.G in D
    αA\circβA = G(A) in D
  7. ∀(A in C).( βA\circαA ∧αA\circβA = G(A) in D )
  8. ∀(A in C).( βA and αA are-inversion-pair in D )
  9. ∀(A in C).( αA is-invertible in D )
補足説明: Within と In
  • X in A -- Xというナニカを、Aという世界のなかで考える。Aのさらに外の世界は(当面は)考えない。
  • X within A in B -- Xというナニカを、Bという世界のなかで考える。Xは、世界Bの一部分であるAのなかに閉じ込められている。
  • X in A in B -- XというナニカはAという世界のなかに居る。世界Aは、さらに外の世界Bのなかに居る。
  • 世界Bの一部分であるAを取り出して(独立させて)世界Aと考えることもある。

世界(環境)に対して、そこに居るモノをインハビタント〈inhabitant | 住人 | habitant (仏) | アビ{ト | タ}ン〉、インハビタントからみての世界(環境)をアビタ〈生息地 | habitat (仏)〉と呼ぶ。居住〈inhabitation | 生息〉は、型理論で使われる用語。

実体が同じモノであっても、アビタが違えば、アビタにおける位置付けや役割が変わるので、あたかも違ったモノのように扱うことがある。

同値な概念

すべて同値:

  1. f:A→B is-iso in C
  2. f:A→B is-iso-1 in C
  3. f:A→B is-invertible in C
  4. f:A→B is-invertible-1 in C
  5. For f:A→B in C, ∃(g:B→A in C).( f:A→B , g:B→A are-inversion-pair in C )
  6. For f:A→B in C, ∃(g:B→A in C).( f:A→B , g:B→A are-inversion-pair-2 in C )
  7. For f:A→B in C, ∃(g:B→A in C).( f;g = idA ∧ g;f = idB in C )

すべて同値:

  1. α::F⇒G is-iso in C
  2. α::F⇒G is-iso-2 in C
  3. α::F⇒G is-invertible in C
  4. α::F⇒G is-invertible-2 in C
  5. For α::F⇒G in C, ∃(β::G⇒F in C).( α::F⇒G, β::G⇒F are-inversion-pair in C )
  6. For α::F⇒G in C, ∃(β::G⇒F in C).( α::F⇒G, β::G⇒F are-inversion-pair-2 in C )
  7. For α::F⇒G in C, ∃(β::G⇒F in C).( α;β = IDF ∧ β;α = IDG in C )

特に、C = Cat のときは、次が同値:

  1. α::F⇒G:CD is-invertible-2 in Cat
  2. For α::F⇒G:CD in Cat, ∀(A in C).( αA is-invertble-1 in D )

圏論で使う描き方 まとめ

ちょっとずつ追加・修正の予定。概念の解説はここではしない。描画法のみ列挙する。

基本

上下左右が入り乱れること:

ストリング図に関する比較的詳しい説明:

後で出てくるタイプ・アノテーション〈プロファイル・アノテーション〉をルビ風に付ける方法は:

以下に出てくる絵で、☆は単一対象と恒等射だけからなる自明圏。f::A⇒B:☆→C in CAT と f:A→B in C は適宜相互に置き換えて解釈する(これがコツ)。この手法については:

関手の関手性

図式順記法で、絵を書き写す。一時的に、関手の矢印は波矢印を使う(谷村省吾先生流)。

結合に関して:
\require{AMScd}%
\newcommand{\hyph}{\mbox{-}}%
\newcommand{\cat}[1]{{\mathcal {#1}}}%
\newcommand{\incat}{\:\: \mbox{in}\:}%
\newcommand{\Comm}{\mbox{commutative}} %
\newcommand{\For}{\mbox{For}\:\:} %
\newcommand{\id}{\mbox{id}} %
\newcommand{\from}{\leftarrow}%
\newcommand{\fto}{\rightsquigarrow}%
\newcommand{\ffrom}{\leftsquigarrow}%
\newcommand{\idt}{\:\:\:\:}%
\newcommand{\S}{\downdownarrows} %
%
\forall (f:A \to B,\; g:B \to C \incat \cat{C}).[ \\
\idt (\overset{A\to B \incat\cat{C}}{f} \,;\, \overset{B\to C\incat\cat{C}}{g}).\overset{\cat{C}\fto\cat{D}}{F} =
  (\overset{A\to B\incat {C}}{f} \,.\, \overset{\cat{C}\fto\cat{D}}{F}) ;
  (\overset{B\to C\incat {C}}{g} \,.\, \overset{\cat{C}\fto\cat{D}}{F}) \\
]

恒等射に関して:

\forall (A \incat \cat{C}).[ \\
\idt \overset{A \to A \incat \cat{C}}{\id_A} \,.\, \overset{\cat{C}\fto\cat{D}}{F} =
  \overset{A.F \to A.F \incat \cat{D}}{\id_{A.F}} \\
]

アノテーションが鬱陶しいので除くと:


\forall (f:A \to B,\; g:B \to C \incat \cat{C}).[ \\
\idt ({f} \,;\, {g}).{F} =
  ({f} \,.\, {F}) ;
  ({g} \,.\, {F}) \\
]


\forall (A \incat \cat{C}).[ \\
\idt {\id_A} \,.\, {F} =
  {\id_{A.F}} \\
]

反図式順記法で:


\forall (f:A \to B,\; g:B \to C \incat \cat{C}).[ \\
\idt F({g} \circ {f}) =
  F(g) \circ
  F(f) \\
]


\forall (A \incat \cat{C}).[ \\
\idt F({\id_A}) =
  \id_{F(A)} \\
]

ちなみに、同じことをストライプ図で描くと:


自然変換の自然性

絵のレイアウトをある程度保存して写し取ると:


\forall (f:A \to B \incat \cat{C}).[ \\
\idt \begin{matrix}
       A  & . & \alpha \\
       f  & . &G      \\
      \end{matrix}
      =
      \begin{matrix}
       f & . & F      \\
       B & . & \alpha \\
      \end{matrix}
      \:=\:
      \begin{matrix}
        f & . &\alpha \\
     \end{matrix}\\
]

縦方向の結合を';'を使って1次元的に書けば:


\forall (f:A \to B \incat \cat{C}).[ \\
\idt (A.\alpha) ; (f.G) =
     (f.F) ; (B.\alpha) =
     f.\alpha \\
]

反図式順では:


\forall (f:A \to B \incat \cat{C}).[ \\
\idt G(f) \circ \alpha_A =
     (\alpha_B) \circ F(f)  =
     \alpha_f \\
]

等式を可換図式で書けば:


\forall (f:A \to B \incat \cat{C}).[ \\
\idt \begin{CD}
     F(A)        @>{\alpha_A}>>  G(A) \\
     @V{F(f)}VV                  @VV{G(f)}V \\
     F(B)        @>{\alpha_B}>>  G(B) \\
     \end{CD} \\
     \:\\
\idt \Comm \incat \cat{D} \\
]

自然変換の横結合

状況をペースティング図もどきで描くと:

\newcommand{\S}{\downdownarrows} %
\begin{CD}
\cat{C}   @=   {}     @>{F}>>  \cat{D} @=  {} @>{K}>> \cat{E} \\
@|             @.\S\alpha      @|          @.\S\beta  @| \\
\cat{C}   @=   {}     @>>{G}>  \cat{D} @=  {} @>>{H}> \cat{E} \\
\end{CD}

定義の等式の第二項と第三項のあいだの等式を確認する。

この等式の一部を可換図式(βの自然性)で書けば:


\For A.\alpha: A.F \to A.G \:\: [\\
\idt \begin{CD}
  (A.F).K          @>{(A.F).\beta}>>  (A.F).H \\
  @V{(A.\alpha).K}VV                   @VV{(A.\alpha).H}V \\
  (A.G).K          @>{(A.G).\beta}>>  (A.G).H \\
  \end{CD} \\
\idt \Comm \incat \cat{E} \\
]

横結合の定義がwell-definedであることと、自然変換のエレベーター規則〈交替律〉が示せた

記法とレイアウトは色々なので、上の可換図式(を含む命題)を、別な記法・レイアウトで描いてみる。


\For
  \begin{CD}
    F(A)\\
    @V{\alpha_{A}}VV \\
    G(A) \\
  \end{CD}\:\:\left[{
\idt \begin{CD}
  H(F(A))       @<{\beta_{F(A)}}<<  K(F(A)) \\
  @V{H({\alpha_A})}VV               @VV{K(\alpha_A)}V \\
  H(G(A))        @<{\beta_{G(A)}}<<  K(G(A)) \\
  \end{CD} \\
  \idt \Comm \incat \cat{E}
}\right]

人によっては、Aを省略して次のような書き方を使う場合もある。もちろん、矢印方向や縦横の取り方はバラバラ。

\require{AMScd}
\begin{CD}
  H\circ F        @<{\beta\circ F}<<  K\circ F \\
  @V{H \circ \alpha}VV               @VV{K \circ \alpha}V \\
  H\circ G        @<{\beta\circ G}<<  K\circ G \\
\end{CD} \\
\Comm \incat \cat{E}

ストライプ図ならば:

ストリング図とストライプ図の併用については:

圏の2-圏の構造(絵だけ)

圏の対象集合とホムセット(ホム集合)

*1

2-圏Catのホム圏である関手圏

2-射の絵の描き方:

スタック図については:

一時的に追加:錐




圏論で使う書き方 まとめ

ちょっとずつ追加・修正の予定。概念の解説はここではしない。用語と記法のみ列挙する。

記述のための構文

説明や定義内で、次の書き方を使うかも知れない。

  1. 中括弧と疑問符
    • 例: 演算{子}?記号 -- 「子」は省略可能で、「演算子記号」でも「演算記号」でも、どちらでもよい。
  2. 中括弧と縦棒
    • 例: 随伴{対 | ペア} -- 「対」と「ペア」のどちらかを使う。「随伴対」でも「随伴ペア」でも、どちららでもよい。
  3. 山形括弧: 山形括弧内に同義語を入れる。
    • 例: 関手圏〈functor category〉 -- 「関手圏」と「functor category」は同義語。
    • 例: ホムセット〈ホム集合 | homset〉 -- 「ホムセット」と「ホム集合」と「homset」は同義語。

以上のルールで十分だと思うが、より詳しくは:

宇宙と圏
  1. 宇宙〈グロタンディーク宇宙〉U内の小圏の圏を Cat#U と書く。
  2. U0U1U2 ∈ … がグロタンディーク宇宙の系列のとき、この系列を前提にして、Cat#r := Cat#Ur
  3. U0 を無限集合を含む(常識的な)宇宙として、U0から始まる系列を前提として:
    1. Cat := Cat#0
    2. CAT := Cat#1
    3. CAT := Cat#2
k-射
  1. Cの対象を 0-射 とも呼ぶ。
  2. Cの射を 1-射 とも呼ぶ。
  3. 高次圏〈higher category〉では、2以上のkに対しても k-射 を考える。
  4. 単に「射」といった場合、「(1)1-射のこと (2)一般的なk-射のこと」のどちらであるかは曖昧、文脈依存
  5. (檜山は)射の意味で「セル」という言葉は使わない。「セル」は幾何学的状況で使いたいので。
  6. 圏(高次圏かも知れない)Cの0-射の集合(真の類かも知れない)を |C|0 と書く。|C|0 = |C| = Obj(C) 。
  7. Cの1-射の集合を |C|1 と書く。|C|1 = Mor(C) 。
  8. Cのk-射の集合を |C|k と書く。
n-圏とk-射
  1. n-圏 とは、k > n であるk-射が自明な射である圏である(循環的定義だが勘弁)。自明なk-射 とは、(k-1)-射のあいだの等値性〈equality〉である。
  2. 任意の圏(高次圏かも知れない)Cと、任意の自然数kに対して、Cが空圏でなければ、k-射は存在する。が、n-圏の k ≧ n + 2 であるk-射は通常は無視する。無視しても問題はない。
  3. Cがn-圏であることを示す注釈〈アノテーション〉として、nC を使う。
  4. Cの、k > p であるk-射を捨てた(自明な射は残る)圏を p|C と書く。Cから p|C を作る操作を p-打ち切り〈p-truncation〉 と呼ぶ。例: Catは2-圏であるので、アノテーションを付けて Cat = 2Cat だが、1|Cat は自然変換を捨てた1-圏。
  5. 過去の檜山の用例では、p|CpC の区別が曖昧。これからも曖昧かも知れない。
n-圏の圏

**TBD**

圏の弱さ

圏の弱さ〈weakness〉の問題は難しく、短くまとめられる状態に至ってない。次の記事を参照。

  1. 高次圏: 複雑さの2つの方向と半厳密性
  2. 高次圏: 複雑さの3つ目の方向と相対階数
  3. デカルト・タワーを求めて

記法としては:

  1. 弱さがρであるn-圏の全体を ρn-Cat#r と書く。
  2. 現状で、ハッキリと定義できる弱さは、sn(厳密n-圏)とwn(最弱n-圏)の二種である。
  3. n-Cat#r と書いたとき、弱さがどうなのか? は曖昧である。「(1)厳密n-圏 (2)最弱n-圏 (3)任意の弱さのn-圏」の解釈がある。
  4. 弱さが特定できるときは、ρnC という注釈を使う。
  5. nC という注釈において、弱さがどうなのか? は曖昧である。
  6. 打ち切りによって、弱さの種類は変わらないと考えられるが、正確な定式化はハッキリしない
  7. 1-圏では弱さは出てこない。Catの弱さは s2 であり、双圏の圏 Bicat の弱さは w2 である。よって、Cat∈|s2-CAT|, Bicat∈|w2-CAT| 。
  8. 概念的実体として“弱さ”は、指標で表現されるはず。
  9. よって、弱さ概念の定式化には指標の理論の整備が必要。
  10. (高次の)指標の理論は、十分に整備されているとは言い難い
ホムシング
  1. 1-圏のことを通常園〈ordinary category〉とも呼ぶ。通常園以外の圏には、高次圏、多重圏(二重圏、三重圏、etc)、豊饒圏、内部圏などがある。
  2. Cが通常園〈1-圏〉のとき A, B∈|C| に対して、C(A, B) はホムセット〈ホム集合〉を表す。ホムセットは集合〈0-圏〉である。
  3. Cが2-園のとき A, B∈|C| に対して、C(A, B) はホム圏を表す。ホム圏は通常園〈1-圏〉になる。
  4. Cが2-園のとき A, B∈|C|, f, g∈C(A, B) に対して、C(A, B)(f, g) = (C(A, B))(f, g) はホム圏のホムセットを表す。0-射〈対象〉A, B を両端とする1-射〈射〉f, g を両端とする2-射の集まりが C(A, B)(f, g) である。
  5. C = Cat の場合は、A, B∈|Cat| に対して、Cat(A, B) はホム圏であり、関手圏である。
  6. |Cat(A, B)|0関手の集合である。
  7. |Cat(A, B)|1自然変換の集合である。
  8. C = Cat の場合は、A, B∈|Cat|, F, G∈Cat(A, B) に対して、Cat(A, B)(F, G) は関手圏のホムセットを表す。0-射〈対象=圏〉A, B を両端とする1-射〈射=関手〉F, G を両端とする2-射〈自然変換〉の集まりが Cat(A, B)(F, G) である。

**まだちょっとTBD**

所属関係

次は同値:

  1. x は、圏(高次圏含む)Ck-射である。
  2. x ∈|C|k
  3. x ∈k C
  4. x:k in C

所属関係の記述例

k k-所属記号 k-射の集合 inとk重コロン
0 x ∈0 X x∈|X|0 x in X
1 x ∈1 X x∈|X|1 x: in X
2 x ∈2 X x∈|X|2 x:: in X
3 x ∈3 X x∈|X|3 x::: in X
k x ∈k X x∈|X|k x:k in X

dom-cod付き所属関係の記述例

k k-所属記号 k-射の集合 inとk重コロン
0 x ∈0 X x∈|X|0 x in X
1 (x:a→b) ∈1 X x∈X(a,b) x:a→b in X
2 (x:a→b) ∈2 X x∈X(a,b) x::a⇒b in X
3 (x:a→b) ∈3 X x∈X(a,b) x:::a≡>b in X
k (x:a→b) ∈k X x∈X(a,b) x:k a→k b in X

k-射のプロファイル

  1. x in X
  2. x:a→b in X
  3. x::a⇒b:c→d in X
  4. x:::a≡>b::c⇒d:e→f in X
  5. x:k a→k b :k-1 c →k-1 d … in X
割り当て〈コンストラクタ | オペレータ | コンビネータ〉

コンストラクタオペレータコンビネータ は同義語(ニュアンスや習慣は後述)。割り当て〈assignment〉も同義語として使う。

  • C, D が圏、p, q が自然数のとき、αがCからDへのp-q-割り当てとは、α:|C|p→|D|q という写像。
  • C = C1×…×Cn のとき、α:|C|p→|D|q は、α:|C1|p×…×|Cn|p→|D|q
  • より一般には、α:|C1|p1×…×|Cn|pn→|D|q

次のような例がある。

  1. 関手の一部 Fobj:|C|→|D|, Fmor:|C|1→|D|1, Fhom = λ(A, B).FA,B : |C|×|C|→|Set|1
  2. 自然変換の一部 α:|C|→|D|1
  3. 双対化〈dualizing | dualization〉コンストラクタ (*):|C|→|C|
  4. 内部ホム・コンストラクタ hom:|C|×|C|→|C|
  5. 評価射オペレータ ev:|C|×|C|→|Set|1
  6. 要素化オペレータ Elm:|C|→|Set|1
  7. ポインター化オペレータ Ptr:|C|→|Set|1
  8. トレースオペレータ Tr:|C|×|C|×|C|→|Set|1
  9. 不動点オペレータ Fix:|C|×|C|→|Set|1
  10. 微分コンビネータ D:|C|×|C|→|Set|1
  11. カリー化コンビネータ Curry:|C|×|C|→|Set|1
  12. モナドの拡張オペレータ (#):|C|×|C|→|Set|1
  13. デカルト射影オペレータ π1:|C|×|C|→|C|1
  14. デカルトペア・コンビネータ <-|->:|C|1×|C|1→|C|1
  15. 対角オペレータ Δ:|C|→|C|1
  16. 余対角オペレータ ∇:|C|→|C|1
  17. 終射オペレータ !:|C|→|C|1
  18. 始射オペレータ θ:|C|→|C|1
  19. 外部ホム二項オペレータ Hom:|C|×|C|→|Set|
  20. 外部ホム共変単項オペレータ Hom(-, A):|C|→|Set|

詳しくは:

コンストラクタ/オペレータ/コンビネータの使い分けはハッキリしない強いて区別するなら:

  1. |C|p→|D| (q = 0)のときはコンストラクタ
  2. |C|p→|D|q (q ≧ 1)のときはオペレータ
  3. |C|p→|Set|q (q ≧ 1)のときはコンビネータ

どうせ守られてないから拘らない。1番の意味でオブジェクト・コンストラクタは明確でいいと思う。

オブジェクト・コンストラクタではない(q ≧ 1 である)オペレータは、余域を持つ。域/余域はコンストラクタ/オペレータ/コンビネータになる。

復習と復讐〈リベンジ〉 2 (C A13)

2020年1月19日に、コモノイドの簡単な事例を構成しようとして失敗したので、少し変更したモノイド圏において、コモノイドを構成・決定する(リベンジ)。関連して復習もする。

モノイド構造/コモノイド構造は、環境・世界となるモノイド圏のなかで定義される。モノイド構造/コモノイド構造がどのくらい存在しているか(モノイド/コモノイドの豊富さ)は、環境・世界となるモノイド圏の特徴付けになる。

内容:

モノイド圏の定義

小さい厳密モノイド圏〈small strict monoidal category〉の定義は簡単である。ここで、形容詞「小さい」〈small〉は、圏の対象の集合とすべてのホムセットが、集合論で認める集合(小さい集合と呼ぶ)であること。「すべての集合の集合」は集合論で認める集合=小さい集合ではないから、Set は小さい圏ではない。

小さい厳密モノイド圏とは、小さい圏と関手からなる圏 Cat のなかのモノイドのこと。なので、小さい圏Cと、2つの関手 P:C×CC, J:IC がモノイドの条件〈モノイドの公理〉を満たせばよい。

もちろん、モノイドの条件は可換図式として与える(ストリング図でもいいけど)。

\require{AMScd}
\newcommand{\For}{\mbox{For}\:\:} \newcommand{\incat}{\:\: \mbox{in}\:}
\newcommand{\cat}[1]{{\mathcal {#1} }}
\newcommand{\thecat}[1]{{\bf {#1} }}
\begin{CD}
(\cat{C} \times \cat{C}) \times \cat{C} @>{\cong}>> \cat{C} \times ( \cat{C} \times \cat{C} ) \\
@V{P \times Id_\cat{C} }VV                          @| \\
\cat{C} \times \cat{C}                  @.          \cat{C} \times ( \cat{C} \times \cat{C} ) \\
@V{P}VV                                             @VV{Id_\cat{C} \times P}V \\
\cat{C}                                 @<{P}<<     \cat{C} \times \cat{C} \\
\end{CD} \\
\mbox{commute} \incat \thecat{Cat}
\;\\
\;\\
\begin{CD}
\thecat{I} \times \cat{C}    @>{\cong}>>   \cat{C} \\
@V{J \times Id_\cat{C} }VV                 @|      \\
\cat{C} \times \cat{C}      @>{P}>>        \cat{C} \\
\end{CD} \\
\mbox{commute} \incat \thecat{Cat}
\;\\
\;\\
\begin{CD}
\cat{C} \times\ \thecat{I}    @>{\cong}>>   \cat{C} \\
@V{Id_\cat{C} \times J }VV                 @|      \\
\cat{C} \times \cat{C}       @>{P}>>       \cat{C} \\
\end{CD} \\
\mbox{commute} \incat \thecat{Cat}

これは、通常のモノイドの条件(念の為に下に書いておく)を Cat に移しただけなので、記憶負担はまったくない。「図式思考の例として、コモノイドについて考えてみる」で述べたように、可換図式の内容をテキストに翻訳すれば、幾つかの等式からなる厳密モノイド圏の定義が得られる(面倒だから今はしないけど)。

参考に、通常の(集合圏内の)モノイドの条件:


\begin{CD}
(A \times A) \times A @>{\cong}>> A \times ( A \times A ) \\
@V{m \times id_A }VV                          @| \\
A \times A                  @.          A \times ( A \times A ) \\
@V{m}VV                                             @VV{id_A \times m}V \\
A                           @<{m}<<     A \times A \\
\end{CD} \\
\mbox{commute} \incat \thecat{Set}
\;\\
\;\\
\begin{CD}
\thecat{1} \times A    @>{\cong}>>   A \\
@V{i \times id_A }VV                 @|      \\
A \times A      @>{m}>>        A \\
\end{CD} \\
\mbox{commute} \incat \thecat{Set}
\;\\
\;\\
\begin{CD}
A \times\ \thecat{1}    @>{\cong}>>   A \\
@V{id_A \times i }VV                 @|      \\
A \times A       @>{m}>>       A \\
\end{CD} \\
\mbox{commute} \incat \thecat{Set}

ちなみに、Cat内のモノイド=厳密モノイド圏と、Set内のモノイド=通常のモノイド を定義する可換図式は、機械的文字列置換で作っている。つまり、両者は機械的文字列置換の差しかない、共通な構造ということになる。「図式思考の例として、コモノイドについて考えてみる」で書いたとおり、檜山は、テキスト等式を並べた定義はまったく覚えてないし、覚えることが出来ない(記憶力が非常に乏しい)し、ハナから覚える気もない。「小さい厳密モノイド圏は、Cat内のモノイド」と覚えているだけ。

さてところで、小さい厳密モノイド圏だけでは不十分なのである。集合圏は、直積と単元集合をモノイド積と単位対象としてモノイド圏になるが、

  1. 集合圏は小さな圏ではない。集合の全体は集合ではないから。
  2. 結合律や単位律が等式として成立しない。例えば、(A×B)×C = A×(B×C) ではない。

法則(ナントカ法則、ナントカ律)が等式として成立するとき形容詞「厳密」〈strict〉を付ける。国語辞書に載っている「厳密」ではなくて、圏論のテクニカルタームである。

必ずしも小さくはなく、必ずしも厳密ではないモノイド圏の定義は難しくなる。なので割愛するが、だいたいは、イコール(=)が同型(\cong)になると思っていればよい。

[補足]
Cの2つの対象 A, B が同型〈isomorphic〉とは、2つの射 f:A→B, g:B→A が在って、

  • f;g = idA かつ g;f = idB

が成立していること。AとBが(Cにおいて)同型であることを A \cong B と書く。

集合圏で、{1, 2, 3} と {4, 5, 6} は同じではないが同型になる。「同型だが異なる対象」が存在しない圏を skeletal〈骨格的〉とか gaunt〈骨皮〉とか呼ぶ。

  • C が skeletal :⇔ C の任意の対象 A, B が A \cong B ならば、A = B である。

[/補足]

圏NOC と 圏NOC2

NOCは、「Natural numbers の Order に基づいた Category」という意味。

圏NOCの定義:

  • 対象の集合: Obj(NOC) = |NOC| = N
  • 射の集合: Mor(NOC) = {(n, m)∈N×N | n ≦ m}
  • dom: dom(n, m) = n (ほんとは、dom((n, m)) と書くべきだが、習慣により括弧を省略した書き方
  • cod: dom(n, m) = m
  • id: id(n) = idn = (n, n)
  • comp: comp((n, m), (m, ℓ)) = (n, m);(m, ℓ) = (n, ℓ)

NOC2では、自然数に無限大∞を付け加える。順序は大小順序だが、∞はどの自然数よりも大きいとする。

圏NOC2の定義:

  • 対象の集合: Obj(NOC2) = |NOC2| = N∪{∞}
  • 射の集合: Mor(NOC2) = {(n, m)∈(N∪{∞})×(N∪{∞}) | n ≦ m}
  • dom: dom(n, m) = n
  • cod: dom(n, m) = m
  • id: id(n) = idn = (n, n)
  • comp: comp((n, m), (m, ℓ)) = (n, m);(m, ℓ) = (n, ℓ)

NOCもNOC2もやせた圏で、∞の有る無ししか差がない。NOCとNOC2の射はペア (n, m) だが n≦m という条件が付いている。なので、射を表すために、不等式を括弧で囲んだ (n≦m) も使う。

  • (2≦5):2→5 in NOC
  • (100≦∞):100→∞ in NOC2
  • (2≦5);(5≦10) = (2≦10) :2→10 in NOC
  • (100≦∞);(∞≦∞) = (100≦∞) : 100→∞ in NOC2

対象や射の実体はなんだっていいし、対象や射を命名したり書き表す方法もなんだっていいので、場合に応じて自由に適当に決める。実体にも記法にも拘らない、縛られない。

拘らない/縛られない/執着しない点において、「圏論の手法やスピリッツは、大乗仏教中観派/般若心経に近い」なーんて言ってる人もいるね。

モノイド圏NOC と モノイド圏NOC2

圏NOCにモノイド積 \oplus を次のように入れる。

  • 対象 n, m に対して n\oplusm := n + m 、単なる足し算
  • 射 (n≦m), (k≦ℓ) に対して (n≦m)\oplus(k≦ℓ) := (n+k ≦ m+ℓ)

単位対象は 0 とする。対象のモノイド積に対して 0 は単位元だし、(0≦0) は射のモノイド積に対して単位元として働く。

圏NOC2にモノイド積 ∧ を次のように入れる。

  • 対象 n, m に対して n∧m := min(n, m) 、小さいほう
  • 射 (n≦m), (k≦ℓ) に対して (n≦m)∧(k≦ℓ) := (n∧k ≦ m∧ℓ)

単位対象は ∞ とする。対象のモノイド積に対して ∞ は単位元だし、(∞≦∞) は射のモノイド積に対して単位元として働く。

モノイド圏NOC2内のコモノイド

モノイド圏NOC2内のコモノイドを探す。コモノイドの定義はモノイドの定義をひっくり返せばいいので、この記事のモノイドの可換図式の矢印を全部逆向きにしてみる。次の文字列置換もする。

  1. A → n
  2. × → ∧
  3. Set → NOC2
  4. 1 → ∞
  5. m → d
  6. i → k


\begin{CD}
(n \wedge n) \wedge n @<{\cong}<<       n \wedge ( n \wedge n ) \\
@A{d \wedge id_n }AA                    @| \\
n \wedge n                  @.          n \wedge ( n \wedge n ) \\
@A{d}AA                                 @AA{id_n \wedge d}A \\
n                           @>{d}>>     n \wedge n \\
\end{CD} \\
\mbox{commute} \incat \mbox{NOC2}
\;\\
\;\\
\begin{CD}
\infty \wedge n    @<{\cong}<<   n \\
@A{k \wedge id_n }AA                 @|      \\
n \wedge n      @<{d}<<        n \\
\end{CD} \\
\mbox{commute} \incat \mbox{NOC2}
\;\\
\;\\
\begin{CD}
n \wedge\ \infty    @<{\cong}<<   n \\
@A{id_n \wedge k }AA                 @|      \\
n \wedge n       @<{d}<<       n \\
\end{CD} \\
\mbox{commute} \incat \mbox{NOC2}

モノイド積の定義から n∧n = n, ∞∧n = n, n∧∞ = n なので、


\begin{CD}
n                          @<{\cong}<<  n  \\
@A{d \wedge id_n }AA                    @| \\
n                           @.          n  \\
@A{d}AA                                 @AA{id_n \wedge d}A \\
n                           @>{d}>>     n  \\
\end{CD} \\
\mbox{commute} \incat \mbox{NOC2}
\;\\
\;\\
\begin{CD}
n               @<{\cong}<<     n  \\
@A{k \wedge id_n }AA            @| \\
n               @<{d}<<         n  \\
\end{CD} \\
\mbox{commute} \incat \mbox{NOC2}
\;\\
\;\\
\begin{CD}
n                 @<{\cong}<<   n \\
@A{id_n \wedge k }AA            @|  \\
n               @<{d}<<        n \\
\end{CD} \\
\mbox{commute} \incat \mbox{NOC2}

結局、出現する射は、すべて恒等射(自然数のイコール)になってしまう。


\begin{CD}
n                          @=          n  \\
@|                                     @| \\
n                          @.          n  \\
@|                                     @| \\
n                          @=          n  \\
\end{CD} \\
\mbox{commute} \incat \mbox{NOC2}
\;\\
\;\\
\begin{CD}
n               @=              n  \\
@|                              @| \\
n               @=              n  \\
\end{CD} \\
\mbox{commute} \incat \mbox{NOC2}
\;\\
\;\\
\begin{CD}
n                @=            n \\
@|                             @|  \\
n                @=            n \\
\end{CD} \\
\mbox{commute} \incat \mbox{NOC2}

なんてツマラナイ例なんだ。そのとおり、ツマラナイ例です。しかし我々は、次の定理を得た。

  • NOC2内のコモノイドは、(n, idn:n→n∧n, !n:n→∞) の形のものに限る。ここで、(n≦∞) を習慣に従い !n と書いている。

「ツマラナイものしかない」ということが新しい知見である。NOCにおけるコモノイドは、(存在はするが)もっとツマラナイともいえるので、各自確認。

今までに調べたコモノイド

コモノイド構造をホストする環境・世界となる圏として、今まで次のものが登場した。

  1. (Set, ×, 1) : × は直積で、1 は単元集合
  2. (NOC2, ∧, ∞) : 今回定義した
  3. (NOC, \oplus, 0) : 足し算をモノイド積とする
  4. (Mat[S], \oplus, 0) : \oplus は対角ブロック和、ここの 0 は、0行0列の行列

それぞれの環境・世界内にコモノイドがどれくらい在るかは:

  1. Set内のコモノイド: 集合Aごとにひとつだけ在る。
  2. NOC2内のコモノイド: 自然数nごとにひとつだけ在る。
  3. NOC内のコモノイド: 自然数nごとにあるわけではない。なので、前回(1月19日)失敗した。
  4. 行列圏内のコモノイド: 行列の転置により、モノイドとコモノイドが移りあう。自然数nごとにひとつだけ在る。

いつでも「コモノイドは少ない」わけではない。ベクトル空間と線形写像の圏Vect内には、色々なコモノイド〈余代数〉が存在し、豊かな理論が展開できる。関手圏のなかのコモノイドであるコモナドもけっこうたくさん在る(随伴系から作れる)。

どのようなモノイド圏にも、最低1個はモノイド/コモノイドが在るのだが、その証明は、一般の場合は意外と難しい(厳密モノイド圏では簡単、やってみて)。

復習と復讐〈リベンジ〉 1 (C A12P4)

2020年1月19日に、簡単な自然変換の例を示そうと思ってトチったので、リベンジ。

圏論の抽象的概念も、具体例をたくさん触る(手でいじる)ことにより、だんだん実感がわいて、お馴染みのモノとなり、自由に扱えるようになる。考え込む前に例を作ろう。

内容:

習慣と設定

  • 圏のあいだの関手〈functor〉は、英字〈ラテン文字〉大文字で書くのが習慣。
  • 関手のあいだの自然変換〈natural transformation〉は、ギリシャ文字小文字で書くのが習慣。

習慣なので破っても問題ない。拘ったり絶対視してはいけない。

2つの関手 F, G:CD のあいだの自然変換 α は、次のように書く。

  • α::F⇒G:CD

縦に配置するなら:

 F:CD
 ======= α
 G:CD

F, G も縦書きすれば:

    C
  ---- F
    D
 ======= α
    C
  ---- G
    D

絵で描けば(ペースティング図とストリング図):

テキストでも絵でも、上下左右を入れ替えても読める/書けることが大事。例えば、ウィラートンは次のような絵を使う。

次の記事も参照。

さて、CD もやせた圏〈thin category〉の場合の事例を示す(次節以降)。やせた圏は単純なので、事例や実験をするには好適。以下の例は、C は適当なハッセ図から生成される圏、D は自然数の倍数約数順序から作られる圏とする。

Cと圏D

Cは、次の有向グラフ(ハッセ図)から生成される圏とする。図は、頂点が4個、辺が2本だが、圏に仕立てるには、恒等射と結合〈composition〉で作られる射を追加する。


  • |C| = {A, B, C, D}
  • Mor(C) = {idA, idB, idC, idD, f, g, f;g}

f;g を h とも書くことにする。念の為に、7本の射の結合の演算表を書いてみる。x方向が→、y方向が↓として、x;y で欄を埋める。

idA idB idC idD f g h
idA idA
idB idB f
idC idC g h
idD idD
f f
g g h
h h

こういう作業をしてみるのも、具体例を触って慣れる行為の一環。手作業をしない限り慣れることは出来ない。

D は、自然数の倍数約数順序から作られるやせた圏。

  • |D| = N
  • Mor(D) = {(n, m)∈N×N | m は n の倍数 }
  • dom((n, m)) = n, cod((n, m)) = m
  • (ℓ, m);(m, n) = (ℓ, n)
  • idn = (n, n)

これも、ハッセ図や演算表を書くなどの作業をして慣れる

D の射は、n×k = m という掛け算の等式と1:1に対応する。例えば、

  • 3×7 = 21 ←→ (3→21 in D)
  • 5×2 = 10 ←→ (5→10 in D)

次のようにも書ける。

\require{AMScd}
\newcommand{\For}{\mbox{For}\:\:} \newcommand{\incat}{\:\: \mbox{in}\:}
\newcommand{\cat}[1]{{\mathcal #1}}
\begin{CD}
3 @>{\times 7}>> 21\incat \cat{D} \\
@.     @. \\
5 @>{\times 2}>> 10\incat \cat{D}
\end{CD}

D の射の名前の代わりに、掛け算の等式を使うことがある。

  • (3×7 = 21): 3→21 in D
  • (5×2 = 10): 5→10 in D

関手 F

関手 F を、次の図で定義する。

色々書き込むとゴチャゴチャするので、最小限の情報しか描いてない。次のとおり。

  • F(A) = 1
  • F(B) = 2
  • F(C) = 4
  • F(D) = 5
  • F(f:A→B) = (1×2 = 2)
  • F(g:B→C) = (2×2 = 4)

これだけ決めれば、恒等射と結合による射の値は自動的に決まる。例えば、

  • F(idB) = idF(B) = id2 = (2×1 = 2)
  • F(h) = F(f;g) = F(f);F(g) = (1×2 = 2);(2×2 = 4) = (1×4 = 4)

自然変換 α と、関手 G

関手 G の定義をハッキリとは述べずに、自然変換 α を先に定義する。自然変換の実体は、C の対象に、D の射を割り当てる写像である。習慣により(破ってもいいが)、α(X) ではなくて αX と書く。


  • αA = (1×1 = 1)
  • αB = (2×3 = 6)
  • αC = (4×6 = 24)
  • αD = (5×3 = 15)

関手 G は、「F を α により移動〈変形〉した結果」のように考える。F を黒、α を青、G を赤で描くと:

自然性

やせた圏だけ相手にしていると自動的に満たされてしまうのだが、一般に、自然変換 α には次の可換図式が要求される。


\For f:X \to Y \incat \cat{C} \\
\begin{CD}
F(X)  @>{\alpha_X}>>   G(X) \\
@V{F(f)}VV            @VV{G(f)}V \\
F(Y)  @>{\alpha_Y}>>  G(Y)
\end{CD} \\
\mbox{commute} \incat \cat{D}

この可換図式で表現される性質を自然性〈naturality〉と呼ぶ。当然ながら、この「自然性」はテクニカルターム〈専門用語〉であって、国語辞書的な「自然な感じ」とかではない! 「なにゆえに“自然”と呼ぶのか」なんて問は無意味・不毛であって、上の可換図式が自然性の定義そのもの。

今回の例では自然性が成立するのは分かっているが、C の7本の射それぞれに対して可換図式を描いてみるのは良い練習。無理にでも機会を作って、可換図式/ストリング図を描いて、図式言語に慣れる。

C の射 idA に対する自然性可換図式は:


\begin{CD}
F(A)  @>{\alpha_A}>>   G(A) \\
@V{F(id_A)}VV            @VV{G(id_A)}V \\
F(A)  @>{\alpha_A}>>  G(A)
\end{CD}

値を代入すると:


\begin{CD}
1  @>{\alpha_1}>>  1 \\
@V{id_1}VV        @VV{id_1}V \\
1  @>{\alpha_1}>>  1
\end{CD}

α1 も id1 = (1×1 = 1) だから、


\begin{CD}
1   @=  1 \\
@|      @| \\
1    @=  1
\end{CD}

というツマラナイ可換図式になる。が、ツマラナイことになる事を理解することは大切。

C の射 f:A→B に対する自然性可換図式は:


\begin{CD}
F(A)  @>{\alpha_A}>>   G(A) \\
@V{F(f)}VV            @VV{G(f)}V \\
F(B)  @>{\alpha_B}>>  G(B)
\end{CD}

値を代入すると:


\begin{CD}
1  @>{\times 1}>>  1 \\
@V{\times 2}VV        @VV{\times 6}V \\
2  @>{\times 3}>>  6
\end{CD}

C の射 g:B→C に対する自然性可換図式は:


\begin{CD}
F(B)  @>{\alpha_B}>>   G(B) \\
@V{F(g)}VV            @VV{G(g)}V \\
F(C)  @>{\alpha_C}>>  G(C)
\end{CD}

値を代入すると:


\begin{CD}
2  @>{\times 3}>>  6 \\
@V{\times 2}VV     @VV{\times 4}V \\
4  @>{\times 6}>>  24
\end{CD}

他の射に対しても、同様に可換図式を描ける。

練習問題と事例

ここで具体的な問題を出すわけではないが、練習問題を自分で作ってやる。練習のやり方は、2020-1-19プリント(紙の印刷物)の「簡単な自然変換の事例(練習法)」に書いてある。今回のこの例を参考に、似た例を作って、自然性の可換図式も描いてみる。

自然変換の現実的な例は、次の記事内で「自然変換」を検索すれば見つかる。

  1. 図式思考の例として、コモノイドについて考えてみる
  2. 行列の圏のなかでモノイドを探す

また、2020-1-19プリントの次の宿題をやる。

  • 「関手の例(宿題)」
  • 「自然変換(導入)」の“宿題になるかも”