一次方程式と微積分の基本定理

一次方程式

$`V, W`$ は有限次元とは限らないベクトル空間とする。$`\newcommand{\mrm}[1]{ \mathrm{#1} }
\newcommand{\mbf}[1]{ \mathbf{#1} }
`$

$`f:V \to W`$ を線形写像、$`b\in W`$ として、次の形は $`x`$ を未知数とする一次方程式である。

$`\quad f(x) = b`$

$`b = 0`$ なら必ず解があるが($`0`$ は解)、一般の一次方程式に解があるとは限らない。解の存在条件は:

$`\quad b \in \mrm{Img}(f)`$

一次方程式に(少なくとも1つの)解があるとして、その1つを $`a\in V`$ とする。一次方程式の解空間(解全体の集合) $`S\subseteq V`$ は次の形に書ける。

$`\quad S = a + \mrm{Ker}(f)`$

ここでのプラス記号は次の意味で使っている。

$`\quad a + \mrm{Ker}(f) := \{x \in V\mid \exists y\in \mrm{Kef}(f).\, x = a + y \}`$

解空間 $`S`$ は $`V`$ の部分ベクトル空間とは限らないが、$`-a`$ を足してゼロベクトルを含むように移動した $`-a + S`$ は部分ベクトル空間になる。それは $`\mrm{Ker}(f)`$ である。

$`\quad \mrm{Ker}(f) = -a + S`$

微積分の基本定理

$`I`$ を $`\mbf{R}`$ 内の開区間(無限区間でもよい)とする。$`I`$ 上の連続関数の全体を $`C(I)`$ 、微分可能で導関数が連続である関数の全体を $`C^1(I)`$ と書く。$`C(I)`$ も $`C^1(I)`$ も、関数の足し算とスカラー倍により(無限次元の)ベクトル空間となる。

$`D : C^1(I) \to C(I)`$ を微分作用素とする。$`D`$ は線形写像になる。$`f`$ を未知数とする一次方程式を考える。

$`\quad D(f) = g`$

解の存在条件は:

$`\quad g \in \mrm{Img}(D)`$

もし、$`\mrm{Img}(D) = C(I)`$ ならば、$`g`$ がなんであっても解が存在する。$`\mrm{Img}(D) = C(I)`$ を言い換えると:

  • 任意の連続関数は、微分可能関数の導関数になっている。

上記命題は成立するが、解の存在条件として重要である。

前節の一般論から、一次方程式に(少なくとも1つの)解があるとして、その1つを $`G\in C^1(I)`$ とする。一次方程式の解空間(解全体の集合) $`S\subseteq C^1(I)`$ は次の形に書ける。

$`\quad S = G + \mrm{Ker}(D)`$

次は知られている。

  • $`\mrm{Ker}(D)`$ は1次元ベクトル空間であり、その要素は定数関数である。

言い方を変えると:

  • 一次方程式 $`D(f) = g`$ の解は存在する。その解(原始関数とも呼ぶ)の1つを $`G`$ (つまり $`D(G) = g`$)とすると、解空間は $`G`$ (原始関数の1つ)と定数関数の和の全体となる。