熱力学? :
通常のパスではなくて、区間 $`[0, 1]`$ を底空間とする位相的バンドルを考えて、そのセクションを考えればいいのかも知れない。実数でパラメトライズされた位相空間の族を対象物とすることになる。それで公理5を解釈出来るかも知れない。
この件。箱入りコボルディズム〈boxed cobordism〉の類似を使って考える。全体の状況は末尾の絵、先に見ておくといいだろう。$`\newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1} }
\newcommand{\In}{\text{ in }}
\newcommand{\cat}[1]{\mathcal{#1} }
\newcommand{\mbf}[1]{\mathbf{#1} }
\newcommand{\u}[1]{\underline{#1} }
\newcommand{\bdry}{\partial }
\newcommand{\Imp}{\Rightarrow}
\newcommand{\Iff}{\Leftrightarrow}
\newcommand{\For}{\text{For }}
%\newcommand{\twoto}{\Rightarrow }
%\newcommand{\op}{ \mathrm{op} } % used
\newcommand{\hyp}{\text{-} } % used
%\newcommand{\ILT}{ \triangleleft } % immediately less than
%\newcommand{\IGT}{ \triangleright } % immediately greater than
`$
内容:
コボルディズム
$`\epsilon`$ は十分小さい正実数として固定する。$`\mbf{J} = [-\epsilon , 1 + \epsilon]`$ と置く。
境界を持つかも知れないコンパクト多様体 $`M`$ と、なめらかな写像 $`f: M \to \mbf{J}`$ の組で、以下に順次述べる条件を満たすものを襟付きレベル付きコボルディズム〈collared leveled cobordism〉と呼ぶ。
[追記]「襟〈えり〉」を「袖〈そで〉」と書いていた箇所が何箇所かあった。似てるからな。[/追記]
まず、
$`\quad \bdry(M) \subseteq f^{-1}([-\epsilon, \epsilon])\cup f^{-1}([1-\epsilon, 1+\epsilon])`$
[追記]$`\bdry(M) = f^{-1}(-\epsilon)\cup f^{-1}(1+\epsilon)`$ でもいいようだ。[/追記]
$`\bdry(M) =\emptyset`$ なら、この条件は自動的に満たされる。
次の定義をする。
$`\quad \bdry_0(M) := \bdry(M) \cap f^{-1}([-\epsilon, \epsilon])\\
\quad \bdry_1(M) := \bdry(M) \cap f^{-1}([1-\epsilon, 1+\epsilon])
`$
[追記]または $`\bdry_i(M) := \bdry(M) \cap f^{-1}(i \pm \epsilon)`$[/追記]
次の「襟条件」を課す。
- $`f^{-1}([-\epsilon, \epsilon]) \cong \bdry_0(M)\times [-\epsilon, \epsilon]`$
- $`f^{-1}([1-\epsilon, 1+\epsilon]) \cong \bdry_1(M) \times [1-\epsilon, 1+\epsilon]`$
これらの条件を満たす $`(M, f)`$ が襟付きレベル付きコボルディズム。$`F = (M, f)`$ と置いて、$`\u{F} := M`$ 、 $`\mrm{lv}_F := f`$ と書く。
[追記]襟を付けているのは、単純化のためで、襟近傍定理を使えば、後から襟を構成できる。[/追記]
[追記]レベル関数が先にあって襟条件を定義できるから、「レベル付き襟付きコボルディズム」がいいかも。[/追記]
- $`\mrm{lv}_F`$ をレベル関数〈level function〉と呼ぶ。
- $`(\mrm{lv}_F)^{-1}([-\epsilon, \epsilon])`$ を進入襟〈incoming collar〉と呼ぶ。
- $`(\mrm{lv}_F)^{-1}([1-\epsilon, 1+\epsilon])`$ を退出襟〈outgoing collar〉と呼ぶ。
$`A, B`$ が境界を持たないn次元コンパクト多様体のとき、襟付きレベル付きコボルディズム $`F`$ への埋め込み $`i_0, i_1`$ があるとする。
$`\quad i_0 : A \to \u{F}\\
\quad i_1 : B \to \u{F}
`$
埋め込みが次の同型を与えるとき、$`F`$ と $`i_0, i_1`$ を一緒にして、$`A`$ から $`B`$ へのコボルディズム〈cobordism from $`A`$ to $`B`$〉と呼ぶ。
$`\quad A \cong (\mrm{lv}_F)^{-1}(0) \text{ via } i_0\\
\quad B \cong (\mrm{lv}_F)^{-1}(1) \text{ via } i_1
`$
$`A`$ から $`B`$ へのすべてのコボルディズムの集合を $`\mbf{COB}^n(A, B)`$ と書く。適当な同値関係(詳細は割愛)で割った集合を $`\mbf{Cob}^n(A, B)`$ とする。次のように書ける。
$`\quad [F,i_0, i_1] : A \to B \In \mbf{Cob}^n`$
記号の乱用で次のように書くかも知れない。
$`\quad F: A \to B \In \mbf{Cob}^n`$
中途半端に次のように書くかも知れない。
$`\quad [F]: A \to B \In \mbf{Cob}^n`$
ルーチンな議論で $`\mbf{Cob}^n`$ を圏にすることができる。襟があるので、貼り合わせは容易である。同値類をとるので、どうでもいい違いは捨象される。
単なる襟付きレベル付きコボルディズム $`F`$ があるとき、$`A := (\mrm{lv}_F)^{-1}(0)`$ 、$`B := (\mrm{lv}_F)^{-1}(1)`$ と置けば、
$`\quad [F] : A \to B \In \mbf{Cob}^n`$
とみなせる。なので、構造を持った多様体としてのコボルディズムと、射としてのコボルディズムを神経質に区別する必要はない。
断熱的パス、断熱的に可達
おそらく、“断熱構造”は、コボルディズム $`F`$ に載る構造なのだと思う。断熱構造があれば、$`\u{F}`$ のパスが断熱的パスかどうかを判定できる。断熱構造の正体は分からないが、“$`F`$ 上の断熱的パス”という概念はあると仮定する。
$`A, B`$ が状態空間と呼ばれる多様体で、$`X\in A, Y\in B`$ とする。状態点 $`X`$ から状態点 $`Y`$ への断熱的パス $`\gamma`$ は次のように定義される。
- $`[F, i_0, i_1]: A\to B \In \mbf{Cob}^n`$ というコボルディズムが在る。
- $`\gamma : \mbf{J} \to \u{F}`$ はレベル関数のセクションである。
- $`\gamma`$ は $`F`$ の断熱的パスである。
- $`\gamma(0) = i_0(X)`$
- $`\gamma(1) = i_1(Y)`$
このとき、断熱的パス $`\gamma`$ により、$`X\in A`$ から $`Y\in B`$ へと断熱的に可達〈adiabatically reachable〉である。
「$`\gamma`$ による」はどうでもいいとして、path irrelevant に考えると、関係 $`X \to^\mrm{AR} Y`$ が出る。
[追記]状態点のあいだの断熱的可達性が定義されうる圏は、状態空間と写像の圏ではなくて、状態空間とコボルディズムの圏なのではないだろうか。[/追記]