恒等写像は集合族〈ファミリー〉か?

マイルドな(心理的拒絶感が少ない)例:

$`A \subseteq \mathrm{Pow}(X)`$ とする。すると、$`\mathrm{id}_A : A \to A`$ は恒等写像。ところで、$`A \subseteq \mathrm{Pow}(X)`$ だったので、$`\mathrm{id'}_A : A \to \mathrm{Pow}(X)`$ とみなせる。この $`\mathrm{id'}_A`$ は、$`X`$ の部分集合を値として、$`A`$ でインデックス付けられた集合族である。

これがマイルドなのは:

  • $`\mathrm{id'}_A`$ の余域が前もって“集合の集合”だと分かっている。
  • なので、$`A`$ の要素をインデックスとも集合ともみなすことに抵抗は少ない。

ビターな例:

集合達の宇宙 $`{\bf U} = |{\bf Set}|`$ も、実際は“集合の集合”である。ただし、“小さい集合達からなる大きな集合”。

$`A \subseteq \mathrm{Pow}(X)`$ とは仮定しない任意の集合 $`A`$ に対して、$`\mathrm{id'}_A : A \to {\bf U} = |{\bf Set}|`$ とみなせる。$`\mathrm{id'}_A`$ は、集合を値として、$`A`$ でインデックス付けられた集合族である。