ちょっとずつ追加・修正の予定。概念の解説はここではしない。用語と記法のみ列挙する。
記述のための構文
説明や定義内で、次の書き方を使うかも知れない。
- 中括弧と疑問符
- 例: 演算{子}?記号 -- 「子」は省略可能で、「演算子記号」でも「演算記号」でも、どちらでもよい。
- 中括弧と縦棒
- 例: 随伴{対 | ペア} -- 「対」と「ペア」のどちらかを使う。「随伴対」でも「随伴ペア」でも、どちららでもよい。
- 山形括弧: 山形括弧内に同義語を入れる。
- 例: 関手圏〈functor category〉 -- 「関手圏」と「functor category」は同義語。
- 例: ホムセット〈ホム集合 | homset〉 -- 「ホムセット」と「ホム集合」と「homset」は同義語。
以上のルールで十分だと思うが、より詳しくは:
宇宙と圏
- 宇宙〈グロタンディーク宇宙〉U内の小圏の圏を Cat#U と書く。
- U0 ∈ U1 ∈ U2 ∈ … がグロタンディーク宇宙の系列のとき、この系列を前提にして、Cat#r := Cat#Ur
- U0 を無限集合を含む(常識的な)宇宙として、U0から始まる系列を前提として:
- Cat := Cat#0
- CAT := Cat#1
- CAT := Cat#2
k-射
- 圏Cの対象を 0-射 とも呼ぶ。
- 圏Cの射を 1-射 とも呼ぶ。
- 高次圏〈higher category〉では、2以上のkに対しても k-射 を考える。
- 単に「射」といった場合、「(1)1-射のこと (2)一般的なk-射のこと」のどちらであるかは曖昧、文脈依存。
- (檜山は)射の意味で「セル」という言葉は使わない。「セル」は幾何学的状況で使いたいので。
- 圏(高次圏かも知れない)Cの0-射の集合(真の類かも知れない)を |C|0 と書く。|C|0 = |C| = Obj(C) 。
- 圏Cの1-射の集合を |C|1 と書く。|C|1 = Mor(C) 。
- 圏Cのk-射の集合を |C|k と書く。
n-圏とk-射
- n-圏 とは、k > n であるk-射が自明な射である圏である(循環的定義だが勘弁)。自明なk-射 とは、(k-1)-射のあいだの等値性〈equality〉である。
- 任意の圏(高次圏かも知れない)Cと、任意の自然数kに対して、Cが空圏でなければ、k-射は存在する。が、n-圏の k ≧ n + 2 であるk-射は通常は無視する。無視しても問題はない。
- Cがn-圏であることを示す注釈〈アノテーション〉として、nC を使う。
- 圏Cの、k > p であるk-射を捨てた(自明な射は残る)圏を p|C と書く。Cから p|C を作る操作を p-打ち切り〈p-truncation〉 と呼ぶ。例: Catは2-圏であるので、アノテーションを付けて Cat = 2Cat だが、1|Cat は自然変換を捨てた1-圏。
- 過去の檜山の用例では、p|C と pC の区別が曖昧。これからも曖昧かも知れない。
n-圏の圏
**TBD**
圏の弱さ
圏の弱さ〈weakness〉の問題は難しく、短くまとめられる状態に至ってない。次の記事を参照。
記法としては:
- 弱さがρであるn-圏の全体を ρn-Cat#r と書く。
- 現状で、ハッキリと定義できる弱さは、sn(厳密n-圏)とwn(最弱n-圏)の二種である。
- n-Cat#r と書いたとき、弱さがどうなのか? は曖昧である。「(1)厳密n-圏 (2)最弱n-圏 (3)任意の弱さのn-圏」の解釈がある。
- 弱さが特定できるときは、ρnC という注釈を使う。
- nC という注釈において、弱さがどうなのか? は曖昧である。
- 打ち切りによって、弱さの種類は変わらないと考えられるが、正確な定式化はハッキリしない。
- 1-圏では弱さは出てこない。Catの弱さは s2 であり、双圏の圏 Bicat の弱さは w2 である。よって、Cat∈|s2-CAT|, Bicat∈|w2-CAT| 。
- 概念的実体として“弱さ”は、指標で表現されるはず。
- よって、弱さ概念の定式化には指標の理論の整備が必要。
- (高次の)指標の理論は、十分に整備されているとは言い難い。
ホムシング
- 1-圏のことを通常園〈ordinary category〉とも呼ぶ。通常園以外の圏には、高次圏、多重圏(二重圏、三重圏、etc)、豊饒圏、内部圏などがある。
- Cが通常園〈1-圏〉のとき A, B∈|C| に対して、C(A, B) はホムセット〈ホム集合〉を表す。ホムセットは集合〈0-圏〉である。
- Cが2-園のとき A, B∈|C| に対して、C(A, B) はホム圏を表す。ホム圏は通常園〈1-圏〉になる。
- Cが2-園のとき A, B∈|C|, f, g∈C(A, B) に対して、C(A, B)(f, g) = (C(A, B))(f, g) はホム圏のホムセットを表す。0-射〈対象〉A, B を両端とする1-射〈射〉f, g を両端とする2-射の集まりが C(A, B)(f, g) である。
- C = Cat の場合は、A, B∈|Cat| に対して、Cat(A, B) はホム圏であり、関手圏である。
- |Cat(A, B)|0 は関手の集合である。
- |Cat(A, B)|1 は自然変換の集合である。
- C = Cat の場合は、A, B∈|Cat|, F, G∈Cat(A, B) に対して、Cat(A, B)(F, G) は関手圏のホムセットを表す。0-射〈対象=圏〉A, B を両端とする1-射〈射=関手〉F, G を両端とする2-射〈自然変換〉の集まりが Cat(A, B)(F, G) である。
**まだちょっとTBD**
所属関係
次は同値:
- x は、圏(高次圏含む)C のk-射である。
- x ∈|C|k
- x ∈k C
- x:k in C
所属関係の記述例
k | k-所属記号 | k-射の集合 | inとk重コロン |
---|---|---|---|
0 | x ∈0 X | x∈|X|0 | x in X |
1 | x ∈1 X | x∈|X|1 | x: in X |
2 | x ∈2 X | x∈|X|2 | x:: in X |
3 | x ∈3 X | x∈|X|3 | x::: in X |
k | x ∈k X | x∈|X|k | x:k in X |
dom-cod付き所属関係の記述例
k | k-所属記号 | k-射の集合 | inとk重コロン |
---|---|---|---|
0 | x ∈0 X | x∈|X|0 | x in X |
1 | (x:a→b) ∈1 X | x∈X(a,b) | x:a→b in X |
2 | (x:a→b) ∈2 X | x∈X(a,b) | x::a⇒b in X |
3 | (x:a→b) ∈3 X | x∈X(a,b) | x:::a≡>b in X |
k | (x:a→b) ∈k X | x∈X(a,b) | x:k a→k b in X |
k-射のプロファイル
- x in X
- x:a→b in X
- x::a⇒b:c→d in X
- x:::a≡>b::c⇒d:e→f in X
- x:k a→k b :k-1 c →k-1 d … in X
割り当て〈コンストラクタ | オペレータ | コンビネータ〉
コンストラクタ、オペレータ、コンビネータ は同義語(ニュアンスや習慣は後述)。割り当て〈assignment〉も同義語として使う。
- C, D が圏、p, q が自然数のとき、αがCからDへのp-q-割り当てとは、α:|C|p→|D|q という写像。
- C = C1×…×Cn のとき、α:|C|p→|D|q は、α:|C1|p×…×|Cn|p→|D|q
- より一般には、α:|C1|p1×…×|Cn|pn→|D|q
次のような例がある。
- 関手の一部 Fobj:|C|→|D|, Fmor:|C|1→|D|1, Fhom = λ(A, B).FA,B : |C|×|C|→|Set|1
- 自然変換の一部 α:|C|→|D|1
- 双対化〈dualizing | dualization〉コンストラクタ (*):|C|→|C|
- 内部ホム・コンストラクタ hom:|C|×|C|→|C|
- 評価射オペレータ ev:|C|×|C|→|Set|1
- 要素化オペレータ Elm:|C|→|Set|1
- ポインター化オペレータ Ptr:|C|→|Set|1
- トレースオペレータ Tr:|C|×|C|×|C|→|Set|1
- 不動点オペレータ Fix:|C|×|C|→|Set|1
- 微分コンビネータ D:|C|×|C|→|Set|1
- カリー化コンビネータ Curry:|C|×|C|→|Set|1
- モナドの拡張オペレータ (#):|C|×|C|→|Set|1
- デカルト射影オペレータ π1:|C|×|C|→|C|1
- デカルトペア・コンビネータ <-|->:|C|1×|C|1→|C|1
- 対角オペレータ Δ:|C|→|C|1
- 余対角オペレータ ∇:|C|→|C|1
- 終射オペレータ !:|C|→|C|1
- 始射オペレータ θ:|C|→|C|1
- 外部ホム二項オペレータ Hom:|C|×|C|→|Set|
- 外部ホム共変単項オペレータ Hom(-, A):|C|→|Set|
詳しくは:
コンストラクタ/オペレータ/コンビネータの使い分けはハッキリしない。強いて区別するなら:
- |C|p→|D| (q = 0)のときはコンストラクタ
- |C|p→|D|q (q ≧ 1)のときはオペレータ
- |C|p→|Set|q (q ≧ 1)のときはコンビネータ
どうせ守られてないから拘らない。1番の意味でオブジェクト・コンストラクタは明確でいいと思う。
オブジェクト・コンストラクタではない(q ≧ 1 である)オペレータは、域と余域を持つ。域/余域はコンストラクタ/オペレータ/コンビネータになる。