多様体様構造〈manifold-like structure〉とは
- 局所的には単純で扱いやすい。局所自明性〈local tribiality〉と呼ぶ。(形容詞は locally trivial)
- 全体としては単純とは限らない。
- 単純な局所部分の貼り合わせとして記述と構成が可能。
多様体様構造の例
- 普通の多様体
- ベクトルバンドル
- コジュール接続
- G-主バンドル
- カルタン接続
- スーパー多様体(よく知らんけど)
多様体様構造の基本概念
- 自明対象〈trivial object〉: 単純で扱いやすいモノ
- 局所自明化〈local trivialization〉: 構造〈空間〉の一部分と自明対象のあいだの同型射
- 自明化近傍〈trivialization neighborhood〉: 局所自明化の定義域である一部分
- 自明化被覆〈trivialization cover〉: 自明化近傍の集まりで、全体を覆うもの
- 変換〈トランジション | transition〉: 自明対象のあいだの同型射。追加条件が付く場合もある。
- アトラス〈atlas〉: 局所自明化と変換の集まりで、自明化近傍の集まりが被覆となっているもの。
- 前多様体様構造〈pre-manifold-like structure〉: 局所自明性を仮定しない構造
用語のばらつきと欠損
一般論 | 多様体 | バンドル | その他 |
---|---|---|---|
自明対象 | ユークリッド開集合 | 自明バンドル | 局所モデル、ベイシック、アフィン対象 |
局所自明化 | 局所座標、チャート | ゲージ | 逆はパラメータ化/フレーム |
自明化近傍 | 座標近傍 | ? | |
自明化被覆 | 座標被覆 | ? | |
変換 | 座標変換 | 変換関数 | ゲージ変換? |
アトラス | 局所座標系 | ? |
定義のばらつきと曖昧性
多様体様構造の定義では、事前に次の指定が必要。
- 前多様体様構造
- 自明対象
- 変換〈トランジション〉
通常の多様体では、
- 前多様体様構造: 第二可算ハウスドルフ空間
- 自明対象: ユークリッド開集合
- 変換〈トランジション〉: ユークリッド開集合のあいだのなめらかな可逆写像で、ヤコビ行列が非退化〈非特異 | 正則〉なもの
しかし、これに限るわけではない。前多様体様構造として「連結成分ごとに第二可算」の条件のほうが扱いやすい。自明対象も色々な選択肢がある。
- ユークリッド開球体:
- ユークリッド開方体:
- ユークリッド空間:
自明対象の選択を変えても、得られる“多様体概念”が変わらないことは証明が必要。だが、あまり証明されてないようだ。
自明ベクトルバンドルの選択も色々ある。広いものと狭いものと中間的なものを挙げると:
- : 任意の多様体と任意の有限次元ベクトル空間の直積に第一射影
- : ユークリッド空間どうしの直積に第一射影
- : ユークリッド開集合と同型な多様体とユークリッド空間の直積に第一射影
これも、自明対象の選択を変えても、得られる“ベクトルバンドル概念”が変わらないことは証明が必要。
変換達が作る構造
が多様体様構造、部分対象達 は被覆で、 は のアトラスとする。
この記号の約束のもとで:
- はすべて自明対象である。
- はすべて自明対象のあいだの変換(たちのよい同型射)である。
を“変換群”と呼ぶことがあるが、実際は群より複雑な構造で、 の直積でインデックスされた自明対象と変換から構成される。
- 単位律に類似
- 逆元の存在に類似
- 結合律に類似
こういう構造をなんと呼ぶか知らないが、群と呼ぶのはマズいだろう。