「ゲージ=局所自明化」という同義性は大丈夫だと思って信頼する。ベクトルバンドル以外のファイバーバンドルでもゲージは意味を持つが、ベクトルバンドルを扱う。
コミュニケーションを困難にする問題点:
1. 単一のゲージとゲージの集まりが区別されない。特に日本語では単数・複数の区別が読み取れない。
2. ゲージと底空間の関係が曖昧なまま、ハッキリしない。
3. ゲージ変換群が「ほんとに群」か「群みたいなもの」かがハッキリしない。
対処法:
1. 「単一ゲージ〈a gauge〉」と「ゲージ族〈a family of gauges〉」で単複の区別をする。
2. IOB=identity-on-base という形容詞を使う。
3. 群でないときは群とは言わないことにする。とりあえずゲージ変換族〈a family of gauge {transformations | transitions}〉とかにする。
接頭辞「非〈non-〉」は排他的意味ではなくて、「‥‥を仮定しない」の意味で使う。
- 非IOBゲージ = 必ずしもIOBとは限らないゲージ
IOBゲージと非IOBゲージ
ベクトルバンドルの一般的なゲージは:
例えば、 とかの状況。
それに対して、次のようなゲージをIOB〈identity-on-base〉なゲージという。
IOBを仮定しない一般的なゲージを非IOBゲージとも呼ぶ。
単一ゲージとゲージ族
添字集合 で添字付けられたゲージの族は、
と書ける。族の成分が非IOBのときとIOBのとき、それぞれ:
IOBゲージ族のときは、底空間部分の は消えてしまい、事情が簡単になる。だが、いつでも「ゲージ = IOBゲージ」ではない。例えば次のようなケースは珍しくない; 底空間部分は局所座標。
ゲージ変換が群元となるとき
IOBゲージ族のとき底空間部分は省略して としてよい。 はIOBゲージ族とする。ゲージ変換族を次のように定義する。
この状況でも、「ゲージ変換の族は群をなす」とは言い難い。言えることは、族のメンバーである個々のゲージ変換 がそれぞれ(別々かも知れない)群の元とみなせること。
次のように定義する。
すると、 は ごとに(原則的に別々な)群になる。
(バンドル自己同型射)だが次の同型がある。
したがって、
としてもよい。
しかしそれでも、ゲージ変換達 を繋いで、大域的 が作れるかどうかはまだ議論が必要。
結局、人びとが「ゲージ変換群」で何を指しているかは不明だが、どの段階〈ステージ〉で何について語っているかが曖昧だと辛い! ハッキリさせようぜ。