感想文

口頭でしゃべった内容を書いておく。


大変な労作で、面白い問題意識・示唆も含まれ、まずは「お疲れ様でした」。

書かれている内容は、おおよそ3つに分けられるだろう。

  1. 最近の圏論的トレンドに関する概論
  2. 圏論的アブストラクト・ナンセンス・スタイル(もちろん良い意味)による定義と定理
  3. 具体的・現場的な話題

初見の印象では、これらを分離するほうがいいのではないかと:

  1. 圏論的な手法に関する俯瞰的サーベイ・解説(潜在的需要は高いと思う)
  2. アブストラクト・ナンセンスな結果の報告
  3. あまり圏論的概念なしに語る具体的な話題

3つの部分を一緒にしてしまうと「繋がりが分からない」、例えば、アブストラクト・ナンセンスな定義・定理が具体的・現場的な話題で(本質的には)使われているわけでもないので、その位置付けが不明、とか。

分離しないで単一著作物とするなら、全体を通してのストーリーを作る必要があるかと。そうでないと「全体としてはとりとめがない」印象をまぬがれないだろう。

よく知られた事例が、一般論の極端な特殊事例であることを明らかにすることに意義があるのなら、その構図の novelty, contribution, implication をアピールしないと伝わらないかも知れない。

あまり大げさな表現は嫌味になるから難しいのだけど、「このフレームワークにおいては、この事例がここまで単純に取り扱えるということは、もっと複雑なより広汎な事例も扱えるパワーを秘めているんだぜ、イヤー、夢がひろがりんぐ」的な謳い文句はあってもよさそう。