圏論化とネーミング

  • 圏論化は一通りには決まらない。
  • 現状、圏論化はscienceではなくart。
  • それでもできるだけ系統的に圏論化したい。
圏論化の前

非可換環は「必ずしも可換とは限らない環」のこと。

足し算あり 足し算なし
非可換環 モノイド
可換環 可換モノイド
R-左加群 M-左作用
R-右加群 M-右作用
(R, S)-両側加群 (M, N)-両側作用
  • 非可換環上の加群は難しいので、スカラー環は可換に限定して、後述の代数〈多元環〉として扱うのが普通。
  • ただし、森田同値などでは非可換環上の両側加群を扱う。
  • 右、左、両側が本質的に異なるわけではないが区別するのが普通だし、区別するほうが便利。
足し算あり 足し算なし
R-左代数
R-右代数
(R, S)-両側代数

Kが可換環ならば、左・右・両側の区別をしなくても問題ないので:

足し算あり 足し算なし
K-加群 可換なLのL-作用
K-代数
K-可換代数
圏論化の前と圏論化の後の名前

事例: semiring = rig の圏論化

  1. 個別固有の名前 : distributive bimonoidal category
  2. もとの構造名 + 形容詞語尾 + "圏" : semiringal category
  3. もとの構造名 + "圏" : semiring category, rig category
  4. "2" + もとの構造名 : 2-semiring, 2-rig

参考:

「2-」を付けるのが楽なので、将来的には主流になりそう。

アクテゴリー関連のネーミング

Kは可換環、R, Sは非可換かもな環。

足し算あり 足し算なし 圏論化
非可換環 モノイド -, モノイド圏
可換環 可換モノイド -, 対称モノイド圏
R-左加群 M-左作用 M-左加群圏, M-左アクテゴリー
R-右加群 M-右作用 M-右加群圏, M-右アクテゴリー
(R, S)-両側加群 (M, N)-両側作用 (M, N)-両側加群圏, (M, N)-両側アクテゴリ
R-左代数 M-左代数圏, -
R-右加群 M-右代数圏, -
(R, S)-両側代数 (M, N)-右代数圏, -
K-加群 可換なLのL-作用 対称なL上のL-加群圏, L-アクテゴリー
K-代数 対称なL上の L-代数圏, -
K-可換代数 対称なL上の L-対称代数圏, -

困ったところ:

  • 足し算なしの場合の構造に名前がない。
  • 圏に関しては「可換」を付けにくい。「対称」とか「ブレイド」。
  • 「2-」を付ける流儀は足し算なしの構造名をもとにしている。モノイド圏を2-モノイドと呼ぶのはよいが、2-環とは呼ばない。
  • ある程度は合意されている複数のネーミングルールのすべてに従うとネーミングが出来ない。

妥協案として、台圏の性質を「M-アクテゴリー」に前置する方法は現状では確かに最良かも。monoidal M-actegory, symmetric monoidal M-actegory